進学資金をまかなう手段

「入学から卒業までにかかるお金」の対策

受験にかかる費用と対策

奨学金制度を利用する

進学に必要な学費や生活費を支援してくれるのが「奨学金制度」で、返済の必要が無い「給付型」と卒業後に返済する「貸与型」があります。大学独自の奨学金制度や様々な団体のものがあり、高校在学中の申請が必要なものもあるので、早めに調べておきましょう。

「給付型」奨学金 返済の必要なし
「貸与型」奨学金 大学卒業後に返済する

奨学金を活用する

進学に必要な学費や生活費を支援してくれるのが、奨学金制度です。データによると、新入生のうち奨学金を「申請した」学生は、63.4%と、半数以上を占めています。そのうち、自宅外生では「申請した」のは73.1%と、7割を超えています。
下記に、主な奨学金制度についてご紹介します。

奨学金を申請した学生の割合
奨学金を申請した
新入生
63.4%
奨学金を申請した
自宅外生
73.1%
おもな奨学金制度
日本学生支援機構
(旧・日本育英会)
  • 奨学金制度の中で最も利用者が多い
  • 第一種奨学金(無利息)と第二種奨学金(利息付)があり、どちらも返済が必要
  • 第一種貸与月額例/自宅外から私立大学に通う場合=64,000円または30,000円
大学独自の奨学金制度
  • 主に私立大学が設けている
  • 貸与と給付の両方がある場合が多く、返済の必要の無い「給付型」が多い
  • 2年次以降の学生が対象となるケースがある
地方自治体の
奨学金制度
  • 保護者がその自治体の住民であることが条件
  • 卒業後の返済が必要な「貸与型」であることが多い
  • 日本学生支援機構の奨学金併用が不可の場合がある
民間団体・その他の
奨学金
  • 保護者の病死や事故による障害があった場合、その子供を支援する団体(「あしなが育英会」「交通遺児育英会」など)の奨学金が受けられる
  • 新聞配達員として働くことで受けられる「新聞奨学生制度」などがある

進学資金の計画の立て方

日本学生支援機構の奨学金とは

最も利用者が多いといわれるのが、日本学生支援機構(JASSO)の奨学金です。学生の自立を支援するため、学生本人に貸し、卒業後、学生本人が返還していくシステムです。

利息の付かない「第一種奨学金」と利息の付く「第二種奨学金」がある

日本学生支援機構の奨学金は、公的な制度です。「第一種奨学金」と「第二種奨学金」があり、第一種は無利息ですが、学業成績の基準が設けられています。第二種は学業成績の基準は無く、貸与月額を選ぶことが出来ます。ただし、在学中は無利息ですが、卒業後は利息が付きます。参考までに、平成25年1月末の利率は、利率固定式で1.08%、利率見直し方式(約5年ごとに見直し)で年0.20%となっています。入学時の一時金として貸与する「入学時特別増額貸与奨学金(利息付き)」もあります。

奨学金の貸与額(月額)は、3万円~12万円で選択できる

奨学金の貸与月額は、種別によって幅があります。
「第一種」では、国公立・私立、通学形態、入学年度別に定められています。「第二種」では、あらかじめ設定されたいくつかの貸与額の中から選択します。平成25年度実績では、3万円・5万円・8万円・10万円・12万円の選択肢がありました。さらに、私立大学の医・歯学課程では、12万円を選択した場合に限り、4万円の増額が可能です。同じく、私立大学の薬学・獣医学課程では、12万円を選択した場合に限り、2万円の増額が可能となっています。

奨学金は卒業後に返還する

奨学金は、卒業後6ヶ月経過後に、原則として毎月返還します。毎月の返還額や返還にかかる年数は、貸与を受けた奨学金の総額によって異なりますが、返還月額と回数の例を掲載しますので、参考にして下さい。

返還が困難になった場合、期限を延ばすことも可能

例えば、大学院に進学するなどの場合は、「在学届け」を出すことで、大学院卒業まで返還が猶予されます。未就職・病気・災害・失業などの事情で返還が困難な場合も、願い出ることで毎月の返還額を減額して期間を延長したり、返還期限を延ばすことができます。

申込みは進学前の「予約採用」と進学後の「在学採用」がある

「予約採用」では、進学先が決まっていなくても申込ができます。申込は学校を通じて行われるため、早めに在学する学校に確認しましょう。「在学採用」では、毎年春に大学等を通じて奨学生の募集を行います。予約採用で採用されなかった人も申込が可能です。

日本学生支援機構のホームページ

PCサイト:http://www.jasso.go.jp/
携帯サイト:http://daigakujc.jp/jasso/

奨学金の貸与基準
第一種奨学金 特に優れた制度で経済的理由により著しく修学に困難がある人
別に定める貸与基準(学力・家計・人物・健康)を満たすことが必須
【学力・家計基準の例】進学前の申込で、4人世帯・給与所得の場合
  • 申込時までの高校の誠意関が5段階評価で平均3.5以上
  • 申込の前年1年間の家計収入が846万円以下
第二種奨学金 優れた生徒で経済的理由により修学に困難がある人
別に定める貸与基準(第一種よりゆるやか)を満たすことが必要
【学力・家計基準の例】進学前の申込みで、4人世帯・給与所得の場合
  • 次のいずれかに該当すること
    1. 申込時までの高校の成績が平均水準以上であること
    2. 特定の分野において特に優れた資質能力を有すると認められること
    3. 学修意欲があり学業を確実に修了できる見込みがあると認められること
  • 申込時の前年の1年間の家計収入が1171万円以下
第一種奨学金(無利息)
区分 通学 貸与月額 貸与総額
(48ヵ月)
返済例
(月額)
返還回数
()は年数
国公立大学 自宅 45,000円 2,160,000円 12,857円 168(14)
自宅外 51,000円 2,448,000円 13,600円 180(15)
私立大学 自宅 54,000円 2,592,000円 14,400円 180(15)
自宅外 64,000円 3,072,000円 14,222円 216(18)

※第一種では、国公立・私立、自宅・自宅外にかかわり無く、3万円を選択することも出来ます。
平成25年度入学者実績

第二種奨学金(利息付)
区分 貸与月額 貸与総額
(48ヵ月)
総額
(利息含む)
返済例
(月額)
返還回数
()は年数
大学・短大・
高等・専修
(貸与額は自由選択)
30,000円 1,440,000円 1,761,917円 11,293円 156(13)
50,000円 2,400,000円 3,018,568円 16,769円 180(15)
80,000円 3,840,000円 5,167,586円 21,531円 240(20)
100,000円 4,800,000円 6,459,510円 26,914円 240(20)
120,000円 5,760,000円 7,751,445円 32,397円 240(20)

※私立大学の医・歯学課程で12万円選択の場合に限り、4万円の増額可。
薬・獣医学過程で12万円選択の場合に限り、2万円の増額可。
平成25年度入学者実績

その他の奨学金について

日本学生支援機構以外にも、地方自治体が運営する奨学金や大学独自の奨学金など、様々な奨学金制度があります。ここではほんの一例をピックアップしてみます。

地方自治体が運営する奨学金

都道府県や市区町村などが設けている奨学金制度で、区域内に保護者が住む家庭の子供が対象となります。貸与条件や貸与額は様々ですので、お住まいの区域の役所に問い合わせてみましょう。

都道府県市区町村の奨学金の一例 ≪東京都:東京都港区奨学資金≫
区分 貸与月額 備考
国公立大学 45,000円 都育英資金等との併用不可
15年間で返還
国公立大学 自宅外 51,000円
私立大学 自宅 54,000円
私立大学 自宅外 64,000円
大学 一時金 300,000円

民間団体の奨学金

民間の団体や企業が設ける奨学金制度も多数あります。民間の奨学金は返還義務の無い給付型が多いのが特徴で、対象校がしていされていたり、学業成績を審査されるケースが多いようです。申請は進学先の大学を通じて行います。

旭硝子奨学会 消防育英会 日本証券奨学財団
伊藤謝恩育英財団 高村育英会 日本通運育英会
岩国育英財団竹中育英会 三菱信託山室記念
小原白梅育英基金 帝人奨学会 奨学財団
樫山奨学財団 中村積善会 山岡育英会
警察育英会 中山報恩会 吉田育英会
実吉奨学会 春秋育英会 など

※文部科学省ホームページより

医療・福祉分野の学生を対象にした奨学金

地域の自治体や病院などが運営しており、卒業後に当該地域に勤務することで奨学金が返還免除になる場合もあります。申請は進学先の大学を通じて行います。

医療・福祉分野の奨学金制度例
制度 対象となる目指す職業
看護師等修学資金 保健師・助産師・看護師・准看護師
介護福祉士等修学資金 介護福祉士、社会福祉士
理学療法士等修学資金 理学療法士、作業療法士、言語聴覚士

家庭の事情に配慮した奨学金

保護者が事故や災害などに遭い、経済的に困難な状況にある学生をサポートする奨学金制度です。高校在学中の予約申込が可能です。

あしなが育英会
  区分 貸与月額 備考
大学
奨学金
一般 40,000円 無利子
他の奨学金との
併用可
特別 55,000円
私立大学入学一時金 400,000円

あしなが育英会 問い合わせ先:03-3221-0888

交通遺児育英会
区分 貸与月額 備考
大学・短期大学奨学金 4万円・5万円・6万円から選択 無利子
他の奨学金との併用可
入学一時金 40万円・60万円・80万円から選択

交通遺児育英会 問い合わせ先:0120-521-286

大学独自の奨学金制度

私立大学の多くが、大学独自の奨学制度を設けています。学校法人が主体のものから、同窓会が運営するものが多く、大きく「給付型」「減免型」「貸与型」の3つに分けられます。採用対象者を代表的なものに分類すると、下記の9つのパターンとなるようです。最近では独自の奨学金制度をより充実させている大学が増えており、その内容は様々です。
ここでは代表的な奨学金制度の種類を紹介します。

代表的な採用対象者
学業優秀者 指定の資格取得者 文化・芸術活動の業績優秀者
家系的に就業が困難な者 指定学部・学科生 災害などで家計が急変した者
同窓子弟子女 スポーツ活動の業績優秀者 留学・海外研修予定者
代表的な独自奨学金のパターン

代表的な独自奨学金のパターン

新聞奨学生制度

新聞配達員として働くことで奨学金が受けられる、全国の新聞社で奨学制度があります。
例えば読売新聞社が行っている「読売育英奨学会」では、朝夕刊の配達などの業務に就きながら、安心して大学に通うことが出来ます。入学から卒業時までの学費の心配が無く、給与・賞与も支給されます。

大学独自の奨学金の代表的な種類と特徴
入試と連動した奨学金
  • 一般入試の成績上位者に対して、奨学金の給付や学費を減免
  • AO入試や推薦入試でも独自奨学生の枠が拡大される傾向
  • 同じ大学でも入試の種類のよって給付額が異なる場合もある
スカラシップ奨学金
(特待生制度)
  • 学業成績の特に優秀な学生に対して学費の減免を行う制度
  • スポーツ推薦や文化活動で優秀な学生が対象のものもある
有資格者対象の奨学金
  • 語学や簿記、コンピュータ関連など、志望する学科に関連した資格を持つ学生に対して、奨学金の給付や学費を減免
  • 在学中に資格取得のため支援金を給付する大学も増加傾向
遠方の学生向け奨学金
  • 遠方からの入学者に対して、奨学金の給付や学費を減免。
    また下宿や生活費用の一部負担をする大学もある
  • 主に都市部にある大学に設けられている

教育ローンの基礎知識

進学資金に利用するもので「奨学金」以外に上げられるのが「教育ローン」です。ここでは、国の教育ローンと民間の教育ローンの特徴と選び方をご紹介します。

教育ローンの役割と奨学金との使い分け

奨学金は、月々決まった金額が給付もしくは貸与されるため、入学時のまとまったお金が必要な場合に頼りになるのが教育ローンです。東京私大教連の調べによると17%の家庭が費用を「借入れ」しており、その平均借入額は163万円というデータがあります。このように一括で借入できる教育ローンと奨学金を使い分けるといいでしょう。

※文中のデータは東京私大教連「私立大学新入生の家計負担調査2012年度」より引用

国の教育ローンは低金利でいつでも申込みが可能

主な国の教育ローンには。日本政策金融公庫の「教育一般貸付」、郵便貯金・簡易生命保険管理機構の「郵貯貸付」、雇用・能力開発機構の「財形教育融資」などがあります。国の教育ローンは低金利で、一年中申込が可能。ただし、融資額に限度があるのが特徴です。
ここでは、日本政策金融公庫の教育ローンの内容をご紹介します。

日本政策金融公庫の教育ローン
融資の対象となる費用 今後1年間に必要となる費用
  1. 学校納付金(入学金、施設・設備費など)
  2. 受験費用(授業料、受験時の交通費、宿泊費など)
  3. 住居費用(アパート等の敷金・礼金など)
  4. その他(教科書・教材・パソコン購入、学生保険など)
申込期間 一年中いつでも申込みが可能(入学資金は入学金の翌月まで)
対象者 保護者(親族や本人が利用できる場合もある)
対象となる学校 大学、短期大学など
所得基準 扶養している子供の人数により異なる
1人=給与所得者790万円以内、事業所得者590万円以内
2人=給与所得者890万円以内、事業所得者680万円以内
※3人以上はお問合せ下さい。特例要件での融資あり
融資額 一人につき300万円以内
返済期間 15年以内
金利 固定金利年2.55%(平成24年3月現在)

民間の教育ローンは、融資金額の使途の自由度が高い

民間の教育ローンは、融資金額や使途の自由度が高いのが特徴です。国の教育ローンと比べるとやや金利は高めですが、キャッシングなどの一般のローンに比べると低金利な設定になっており、大学と提携している「提携教育ローン」なら一般の教育ローンよりも低金利です。銀行や信用金庫、信用組合、労働金庫、JAなどの金融機関、さらに信販会社からさまざまなプランが提供されているので、家計の状況にあったものを選びましょう。

民間の教育ローンの概要
取扱機関 銀行・信用金庫・信用組合・労働金庫・JAなどの金融機関、信販会社
対象となる費用 教育関連の資金
申込期間 1年中いつでも申込みが可能
対象者 保護者
融資額 無担保:10万円~500万円が多い 
有担保:最高で3000万円のプランもある
返済期間 無担保:5年、7年、10年が一般的 
有担保:20年、25年などプランによる
金利 変動金利、固定金利などプランにより異なる

奨学金は学生(子供)が借り、教育ローンは親が借りる

最後に、教育ローンの場合、お金を借りるのは保護者となりますが、奨学金(貸与型)を借りるのは学生(子供)となります。そのため、資金計画の際にはお子さんと良く話し合い、お子さんに経済面での自覚を持たせることも大切です。お子さんの自立心が促され、夢の実現に向かって頑張る良いきっかけとなることでしょう。子供の夢や将来を応援するためという親の想いを伝えながら、お子さんと一緒に乗り越えて行きましょう。